【完】時を超えて、君に会いに行く。


「沙奈に……いつ言われたの?」



不思議に思い、聞いてみた。



「昨日、部活終わったあと、沙奈とふたりで帰ったんだよ。彼方はいつも通りひとりで先に帰っちまったけど、沙奈は美術室いたから」



胸がドクンと音を立てる。



なるほど。ふたりで帰ったんだ。



「そっか……」



そう、だよね。



私は昨日、万年筆を買いに行ってたし、必然的に航と沙奈、ふたりきりになるよね。



でも……。



私は未来を変えるために、ひとりで帰ったんだよ?


それは航を助けるためなのに。



なのになんで航は、なにも知らないで沙奈とふたりで帰ってるの……?



頭の中がゴチャゴチャする。


あぁもう、こんな感情いらない。



全部消えちゃえばいいのに。

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