【完】時を超えて、君に会いに行く。
どれくらい時間が経っただろう?
「上原ー。俺、もうそろそろ時間だから帰るけど……」
「あっ、ごめん。もう閉館の時間?」
気づいたら、図書室には同じクラスの図書委員の寺本(てらもと)くんと私だけになっていた。
本を借りれる時間は、委員の人がいる放課後の30分間だけ。
どうしよう。
結局、本見つからないままだ。
「まだ本見てたいんだったら全然いてもいいよ。図書委員いないから借りることはできないけど……」
「あ、ホントに?じゃあ、私もうちょっとここで本読んでるね」
「おっけ、わかった。じゃあ悪いんだけど、帰るときにこの鍵、職員室に返しといてくんね?」
そう言って手渡されたのは、図書室の鍵だった。
「うんわかった。ありがとう」