【完】時を超えて、君に会いに行く。
目を伏せ、少しさみしそうな表情をした彼方は、チラッとだけ校内を見つめた。
ここからでは見えないけど、その視線の先には、美術室があるところだって、私にはわかる。
……彼方と美術室?
とくに縁のないふたつの組み合わせに、私は首を傾げてしまう。
美術室に用ってことは、沙奈と関係することかな……?
……もしかして。
「行こ。未歩」
思案にくれてる私を、我に返らせたのは、彼方の明るい声。
「うん」
私はうなずくと、彼方の後ろをついて行った。