【完】時を超えて、君に会いに行く。
あんなにさみしそうな彼方を、初めて見た気がする。
だけど今目の前にいる彼方は、なにやら目を伏せて考え込んでるよう。
……どうしたんだろう?
「いや、そうだよ」
「えっ?」
今度は私が、驚きの声を漏らす番だった。
顔をあげたかと思えば、彼方が突然そんなことを言い出すから。
でも今、あからさまに間があったよね……?
「実は俺、沙奈が好きなんだよね」
「え、ホントに?」
「うん」
なにそのとってつけた感じ。
私には、〝俺は沙奈のことが好きってことにしておこう〟って感じに聞こえたんだけど……。
……これは私の考えすぎかな?