【完】時を超えて、君に会いに行く。


しかも航は、私は用があるから放課後は先に帰ったと思ってるだろうし。


たぶん、言わない方がいい。



そう思った矢先、



「昨日、放課後に未歩と昇降口で会って、一緒に帰ったんだよ」



聞こえた言葉に、思わず顔を上げてしまう。



……え。


……え、え、え……彼方、今言っちゃった!?



「は?」



航の顔から、笑みが消える。



沙奈はただ驚いた顔をしていた。



「あ、あの……違うくて……」



なにが違うのか、自分でも全然わからない。


でもとりあえず、なにか言わなくちゃ。



「昨日お前、用あるって言ってなかった?」



責めるような、問い詰めるような、航の少しつり上がった目が、私を見てくる。



「用っていうのは、図書室で……」


「なんで図書室なんだよ?」

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