【完】時を超えて、君に会いに行く。


航にわかるワケない。



私がわざわざ本を読む理由なんて、航は知るはずがない。



だって小説書いてること、航は知らないもん。



「航も……沙奈と一緒に帰ったじゃん」



あえて質問には答えず、私は自分の意見を返した。



「えっ?」



「本当に昨日、偶然彼方とはちあわせたから一緒に帰っただけだよ。
別にいいじゃん……そのくらい」



あっ、しまった。



こんな可愛くない態度とったら、また前みたいにケンカになる……。



「……あっそ」



だけど航は、ふいっとそっぽを向いて、自分の席の方へと行ってしまった。



……あれ?



拍子抜けしてしまった。



不服そうな顔してたけど、意外とあっさりしてたから、身構えてた自分がバカバカしい。



なんか……変な感じ。




だけどそのタイミングで先生が入ってきたので、私はもうなにも考えないようにして、席についた。

< 95 / 420 >

この作品をシェア

pagetop