【完】時を超えて、君に会いに行く。
航にわかるワケない。
私がわざわざ本を読む理由なんて、航は知るはずがない。
だって小説書いてること、航は知らないもん。
「航も……沙奈と一緒に帰ったじゃん」
あえて質問には答えず、私は自分の意見を返した。
「えっ?」
「本当に昨日、偶然彼方とはちあわせたから一緒に帰っただけだよ。
別にいいじゃん……そのくらい」
あっ、しまった。
こんな可愛くない態度とったら、また前みたいにケンカになる……。
「……あっそ」
だけど航は、ふいっとそっぽを向いて、自分の席の方へと行ってしまった。
……あれ?
拍子抜けしてしまった。
不服そうな顔してたけど、意外とあっさりしてたから、身構えてた自分がバカバカしい。
なんか……変な感じ。
だけどそのタイミングで先生が入ってきたので、私はもうなにも考えないようにして、席についた。