ORANGE SNOW
ある日私は、「魔法」というモノを知った。
使用人の中にそれを扱う者がおり、自由に自然物を操るその力に私は魅了され、何日も頼み込んで、それを身に付ける練習を、こっそりとしてくれると約束してくれた。
魔法にもたくさんの種類があったが、一種類しか扱えないと聞いて、酷くがっかりしたのを覚えている。
どれにしようか、と少し考えたが、私にとって炎の魔法は酷く魅力的だった為、それを学ぶ事になった。
すぐに魔法を身に付ける事ができ、「炎に愛されてる、炎の従者なのかもしれないね」と言われ、私は飛び上がって喜んだ。
ただ魔法を身につけた事は、誰にも知られてはいけなかった。
それは下賎な者が扱うモノと貴族達の間では言われており、もし父親にばれたら使用人は即クビだし、私は罰として部屋に幽閉されるだろう。
そんなの耐えられない。
だが練習を始めて暫くたった後、私が無茶をして屋敷の離れにある、いつも魔法を教えてもらっている一角を、燃やしてしまった。
そのおかげで使用人は屋敷を追い出され、私はもちろん、魔法を使う事を禁じられ、幽閉される事になった。
酷く悔しくて、泣いた。
我慢の限界がきていた。
見えるものを全て壊し、ドレスも破き、宝石は部屋中にばらまいた。
私には、そんなものはいらなかったから。