ORANGE SNOW
二話 傀儡人形
とんとんとん。
音を鳴らして少女は無邪気に笑う。
その胸に抱き締めた不思議の国のうさぎと共に少女は踊る。
永遠にその檻から出れないとも知らず。
-二話 傀儡人形-
いつもの朝がきて、いつも通りに起きる。
その生活リズムは決して変わらず人々は毎日を繰り返している。
その人々がすむ街にまぎれた一つの家では毎日が少々騒がしく、慌ただしかった。
家の前には、「キュアスリー『プリムロウズ』」と名前が掲げられていて、その中では少女達がばたばたと走り回っている。
朝御飯である食パンを手にもちながら一人の少女―リヴィアスは隣にいるさくらに声をかけた。
「ちょっと、書類どこ?」
それに眠そうに目をこすりさくらは機嫌が悪そうに答える。
「枕の下」
「どこに置いてんだ!」
リヴィアスがばたばたとさくらの部屋に行く音がすると共にキッチンからは悲鳴があがる。
「おねーちゃん、パン焦げてる!」
さくらの妹―蓮華がさくらの手を引っ張り焦げ臭い匂いと共に、蓮華がさくらを怒る声が家中に響く。
これではどっちが姉かわからないな、と部屋の淵の方でパンをくわえて新聞を広げている黒髪の少女―セルリアはいつも通りの慌ただしさに苦笑した。