ORANGE SNOW
「…え?」
その言葉の意味が最初わからなかったが、すぐに「殺す」と言われた事を理解し、蓮華は身をすくませ倒れたまま後ずさる。
だが白い少女は、じりじりと蓮華に近寄り―、手の炎を放った。
「い、いやあああああああああ」
とっさに横に身体を転ばせ炎を避けるが、横を通った炎のあまりの熱さに思わず悲鳴を上げる。
同時、逃げなきゃ、という指令が身体中を駆け巡り、蓮華はよろよろと立ち上がった。
―なんで?
―なんで私が?
考えてる暇はなかった。
白い少女が再び手をこちらに向け―、炎をためていた。
魔法を唱える為には「詠唱」がいる筈なのに、この少女は唱えてない事に違和感を持つものの、自分が殺されるかもしれない、という事実に焦りその違和感を消し去る。
蓮華は手をぎゅっと握りしめ、目の前で炎をためている白い少女を見据える。
そして―、
「私の力よ、唄えッ!!!」
魔法の詠唱にも似たその言葉を、思いっきり叫んだ。