ORANGE SNOW
きーん、と張り詰めた音が空間に広がる。
黒い光が止まり、一瞬時が止まったように周りの動作が止まったが、すぐに赤い宝石がパキン、と割れる音がした。
そして押さえつけていた少女がそのままふっと目を閉じ気を失う。
それと同時リヴィアスは安堵の息をもらした。
「蓮華!」
それを見てさくらも安心したのか息を吐いたがすぐにはっとし、急いで蓮華に駆け寄った。
自分に抱き寄せ、蓮華の顔に耳を近づけ、すぐに力が抜けたように座りこんだ。
「よかった・・・。
疲れて気失ってるだけみたい」
それを聞いてリヴィアスもふっと笑みをもらしたが、すぐに少女の体を抱えた。
他に敵がいないとは限らない。
次々とこの少女と同じようなのが来られたら、さすがにこちらが圧倒的に不利だ。
せめてセルリアがいれば風の魔法で楽できるのに、と軽く舌打ちをしたが、ぐだぐだ言っても仕方がないので、さくらにも蓮華を抱えるように言う。
すぐにさくらは蓮華を抱え、立ち上がった。
「早く戻ろう。
今、この街は、危険な感じがする」
お互いが頷きあうと、すぐに夜の街を慎重に見渡しながら走り出した。
「あの時」以来の大きな不安に、リヴィアスはため息をつくしかなかった。