ORANGE SNOW
「今は、リヴィアスと言います」
少女が口を開いた事で、一気に嬉しい気持ち押し寄せてきた。
今、目の前には、自分の恩人が確かに立っている。
「貴女こそ、生きていたのですね。
あの時は、ありがとうございました。
貴女のお陰で私は今こうして生きていられてる」
ずっと言いたかった言葉を少女へと投げ掛ける。
すると少女は顔を伏せ、悲しそうな声を漏らした。
「生きていた事は生きていたわ。
でも、あのあと深手をおって、昨日貴女達に助けられるまでの数年、人形にされていたの。
自分で自分の制御ができなくて、あのクォーターのエルフの子にとんでもない事をしてしまった」
本当に、とんでもない事を、と少女は小さく呟く。
それにリヴィアスは複雑そうに微笑むと、少女と目が合うようにかがみこんだ。
「事情を話せばわかってくれる連中です。
だから、貴女にあった事を私と連中に話してくれませんか?
――主に、その詠唱なしの力のことを」
「――――っ」
少女は不意をつかれたように息を飲んだが、すぐに微笑み、リヴィアスの頬に触れ、頷いてみせた。
それがエルフなりの挨拶だろう、リヴィアスも頷いて見せた。
「そういえばまだ名乗ってなかったわね。
私の名前は、スノウ。
スノウ=オレンジよ」