不器用恋愛
啓吾とあたしの関係なんて説明する程深くなくて、時々一緒に飲んで、下らない話をするだけ。
啓吾のモテ方は尋常じゃないけど、特定の彼女は作らないらしい。つくづく嫌味な奴だ。多分何度か刺されかけたんだろうな、全く知らないけど。
これだけ綺麗な顔してりゃ、大変だろーね、とか失礼な憶測してると不意に目が合った。誤魔化すように視線を逸らして、あたしは適当に言葉を作る。
「そういえば、この間の美人秘書どーなった?」
美人秘書。響きがエロいよね。街で偶然見かけただけで別に秘書だかどーだかは知らないけど。あれは絵になる二人だった。
「ああ?あんな頭空っぽの女興味ねーよ」
啓吾は、つまらなさそうにこたえる。秘書の部分、訂正しないのかよ。
「あんたね?そうゆう言い方してると女敵に回すから」
あたしはフゥと息をついた。
「気になる?」
低い声がからかうように甘く響く。この自信過剰な男を殴り飛ばしたい。
「あんたみたいに確実に苦労する男絶対ごめんね」
常にトラブルに纏わり付かれそうだもん。