不器用恋愛
「俺、一途だけど?」
啓吾は不本意そうに眉を曲げる。
「どこがよ」
「おまえは知らないだけ」
目を細めるだけの仕草に見とれてしまった自分が悲しい。
「俺、好きじゃない女は抱かないし」
出たよ、名言。一体何人抱いてのセリフだ。あたしはカクテルを飲み干してから啓吾に向き直る。
「知らなくても問題ないし。大体なんであんたの恋愛論聞かなきゃなんないのよ」
「そりゃそーだ」
啓吾はまた楽しそうに笑った。