不器用恋愛
酔ったのか、なんなのか。普段と違う空気に調子、狂う。
啓吾と恋愛とか女と男の話をする事なんて殆どないから。
仕事の話か、馬鹿みたいな趣味の話。男と女の関係でもない。ただの友人関係。
「おまえって冷めてる」
啓吾は、力強い瞳でからかうようにあたしを見つめる。
「熱くさせてみたいでしょ?」
あたしもそれを受け流す。
「別に?」
啓吾の淡い茶色の瞳が悪戯に光って、
「俺が熱くなったら嫌だし」
さらりと、そんな事言うから。
本当にこいつは嘘つき。食えないヤロー。
内心、その瞳に、胸の奥の方が、嫌な締め付けを起こしかけてるなんて悟られたくなくて、居心地悪い感覚に煙草を吸い込んだ。
ほんとやだ。調子、狂う。