冬空どろっぷす

優しい日向はきっと、気付いていたんだろう。

私がどうして教室から居なくなったのか。
帰りに教室によることもせず、さっさと一人で帰ろうとした理由も。

「気分転換しよう、って…言いたかったんだろうな。」

私が勝手な嫉妬心を抱いていた事は、明らかだ。

友情から離れて行ってしまった彼女たち。
彼女たちを何よりも優先するようになってしまった彼ら。

居場所がなくなってしまったのは、自分のせいだというのに。
素直に彼女たちを祝福できない自分が、嫌いだ。

大好きな人たちの幸せを。
大好きだった人の幸せを。

どうして素直に、祝福できないんだろう。

「…あぁ、また…こうして、憂鬱になって、しまう…」

考え込んでしまうとどんどんと悪い方向に行ってしまうのは。
私の悪い癖だ。

ふと、”彼”の顔が浮かんだ。

慌てて首を振って、想像を振り払う。
どうして、”彼”の顔が思い浮かぶんだろうか。

―今更、どうしようもないのに。

ふぅ、とため息をついて。
布団にもぐりこんだ。
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