冬空どろっぷす
四章
シフォンの白いスカート。
茶色の編上げのブーツ。
黒いタイツ。
ピンクのふわふわのシャツ。
こげ茶色のカーディガン。
その上から、分厚いコートを羽織る。
白いマフラーを巻いて。
「…よし、変じゃない…よね。」
電車の中で鞄を抱き込むようにして座る。
日向と二人きり、という状況に対して緊張しないとはいえ。
周囲から見て、日向に迷惑をかけるような服装で行くわけにはいかない。
そんな無駄な使命感からいつもより少しだけ頑張った格好。
―それに。
これって、どちらも意図していないとはいえ。
「デート」
なのでは。
そのことに気付いたあたりから無駄にぐるぐると考えが頭を回る。
誰かに見られたらどうしよう、とか。
日向は気づいているんだろうか、とか。
やっぱりいつも通りの方がよかったんじゃないかな、とか。
いつもなら考えないことまで考えてしまう。
―次は…
と、電車のアナウンスが流れるまで、必死に鞄を抱きしめていた。
待ち合わせの場所であり目的地でもある、駅。
映画館はもちろん、ショッピングセンターやファミレス、喫茶店にゲームセンターなど様々なものが集合している駅前。
都心部にありがちな光景だろう。
目印の、駅前の変な銅像の前。
待ち合わせの十分前。
ふぅ、と息を吐いて銅像の傍に立つ。