冬空どろっぷす
一章

寒空の下、マフラーに顔をうずめて電車を待つ。
自らが吐いた白い息が、視界を眩しい色に染める。
きらきらと蒸気が太陽を反射して、眩しくて、思わず顔を顰めた。

最近は少し、学校に行くのが憂鬱だ。
高校2年生がもうすぐ終わろうとしている今、友達が、そろいもそろって『彼氏』を作りやがったのだ。
冬だというのに熱々な彼女らは、いつも彼氏と行動するようになった。
そう、私はお払い箱になったのだ。

そういう私には、もちろん彼氏などいない。
居ないというか、出来ないといった方が正しいだろう。

容姿は、悪くない方だと思う。
身長は、この年頃の女の子に比べれば少し高いと思われる160センチ。
体重はまぁ、それとして。いや、重くはない、決して。
平均よりは軽い、うん。
色素が薄いせいで少し茶色を帯びたくせ毛と、同じ理由で肌も薄い。
目は二重で、瞳は茶色。
鼻も低いわけではないし。
顔は…全体的にまとめれば、そう、子供っぽい。
胸についても…今後に希望をしている。

問題は、この性格なのだ。
容姿には似ても似つかない、腹黒さ。
ついでに、口も悪い。

彼氏がいなかったわけではないけれど、皆外見だけで言い寄ってきたくだらない男ばかりだった。
だからつい、きつい口調になってしまって。

要は、ひねくれているのだ。
意地っ張りで、天邪鬼で、ひねくれていて、面倒くさい。
誰も相手にしなくて、当然だ。

そんなお払い箱の私は、今、一人で登下校をしている。
部活にも一応入部しているけど…
部活は、軽音部。
響きはいいし、理想の高校生活をするのにぴったりだと思っていたその部活には。
ちゃんと真面目に活動に取り組む者など皆無で。
高校1年の夏には、誰も部室に来なくなった。
先輩も幽霊部員ばかりで、真面目な人は大抵が学校外で活動をしていた。

私も、部室にはあまり行かない。

また今日も、見たくもないらぶらぶっぷりを見せつけられるのかと思うと、もう嫌気がさす。
これ見よがしに、腕を組んで。
手を繋いで。
耳障りな声で乳繰り合って。

ぎり、と歯ぎしりをした。

羨ましくなどない。
腹だたしい。
邪魔でしかない。

電車を待つ間にも、学生のカップルは次々に、駅に…

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