足音
「これは、おばあちゃんにもらったお守り?」

ポケットにいれた記憶なんてなかった。だが、そのお守りについている、髪留めのようなものが俺の足を刺激していたのだ。

「ちっ」

外から露骨な舌打ちが聞こえた。

俺はようやく気づいた。
''私が戻るまで決してここを出てはいけない''

それに気づいた途端背筋が凍った。

「カェセヨォウ。アシヲカェセヨォウ」

突如、腹の奥から唸るような怨嗟の声が聞こえてきた。

「カェセヨォウ。カェセヨォウ」

そして、また声が止んだ。だが、今度は安堵する間がなかった

ババババババ
不気味な音とともに、障子に端から手形がついていった。

そして俺は気を失った。

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