妖精と彼
一番の問題は……
最近、姉さんがトウくんに対して好意的な反応をするようになってきていること。
姉さんは自分の恋愛感情にも鈍感だから、トウくんのことが気になってきていることに気付いていない。
あんなにウザいトウくんが姉さんに好かれるのも理解できないし、姉さんがマジで好きになっちゃったら明らかに両想いだし……
それって、本当に本当に本当に悔しい。
だから、俺はよく姉さんの部屋に突撃する。
トウくんを追い出すために。
そして、姉さんが恋心を自覚してしまわないように。
いつも俺は、夕飯を理由にトウくんを追い出すように画策している。
ある程度の時間を見計らい、俺は姉さんの部屋をノックする。
ーーーコンコン、
「はーい」と部屋の中から姉さんの声がする。
その返事を聞いて、俺は勝手に部屋のドアを開ける。
「愛!どーしたの?」
俺の姿を確認して優しく声をかけてくる姉さん……と同時に聞こえる元気な声。