妖精と彼







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そんな俺の心を知らず、時間は過ぎて夜は明ける。





俺の朝は割と早い。




ギリギリの時間まで寝て、起床して身だしなみを整えて、朝食を摂ったらカバンを引っ掴み、早々に家を出る。






高校までは歩いて20分。



あまり時間がないから早歩きで毎日歩いている。





周囲の様子を特に見ることもなく、しばらく歩いていた。
昨日、俺が不思議な気配を感じた桜並木の近くまでやってきた。






……昨日のあれって、何だったんだろ?







「…ぁの…………」






ふと、昨日のことを思い返していると、一番大きな桜の木の隣を通った瞬間、声をかけられた気がした。



とてもか細い声で、気のせいかと思うほど小さかった。







声のした方向、大きな桜の木の方に目を向けるけど……特に誰もいない。







「……………?」






近くも見回してみるけど、人はいるものの足早に歩いていくだけで声をかけてきたと思われる人はいなかった。





「…………」






結局よく分からず、自分に声をかけた人もいないようだった。

本当は自分以外に声をかけていたり、もしくは気のせいだったのかも…と思い直す。






そこまで考えたところで、ふと左手につけてある時計が目に入る。
そうだ、ここで立ちすくんでいたら……




「…あ、遅刻する。」







俺は、学校へと足を早めた。












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