妖精と彼








『わたしのはなしを、きいてみようとおもってくれたんですね……ありがとうございます。』






「え……?」






俺は、驚きで目を見開いた。
考えていることを当てられたのは、姉さん以外では初めてだ。




さくらは俺を見て、得意げな顔をする。






『わたし、あいさんのきもち、みててわかります。』





「俺の…気持ち……?」







さくらは力強く頷くと、俺に向かって手を伸ばす。
しかし、何かを思い出したように手を引っ込めた。








『……わたしのこと、うたがってますか…?』





「………まあ。」







素直にそう答えると、さくらは少し困ったような顔をした。

あごに手を当てて、何か考えているようだ。







『あぁ、そうだ……』






さくらは何か思いついたらしく、楽しげに微笑んだ。






『きのうのよる、たのしそうにおでかけしていたのを、ここでみました。』








「!!」





『あんなにわらっているあいさん、めずらしいですよね。』













< 48 / 71 >

この作品をシェア

pagetop