妖精と彼
『わたしのはなしを、きいてみようとおもってくれたんですね……ありがとうございます。』
「え……?」
俺は、驚きで目を見開いた。
考えていることを当てられたのは、姉さん以外では初めてだ。
さくらは俺を見て、得意げな顔をする。
『わたし、あいさんのきもち、みててわかります。』
「俺の…気持ち……?」
さくらは力強く頷くと、俺に向かって手を伸ばす。
しかし、何かを思い出したように手を引っ込めた。
『……わたしのこと、うたがってますか…?』
「………まあ。」
素直にそう答えると、さくらは少し困ったような顔をした。
あごに手を当てて、何か考えているようだ。
『あぁ、そうだ……』
さくらは何か思いついたらしく、楽しげに微笑んだ。
『きのうのよる、たのしそうにおでかけしていたのを、ここでみました。』
「!!」
『あんなにわらっているあいさん、めずらしいですよね。』