妖精と彼
『では……おともだちから、はじめませんか?』
「あ……うん。」
何も考えずに、そう返事をしてしまうくらいに。
俺の返事を聞いて、彼女は嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、俺も微笑ましい気持ちになった。
きっと、俺が感情を表に出せるやつだったら…きっと微笑んでいたことだろう。
さくらは、無表情な俺の顔を見て、ホッとしたように息を吐いた。
『わたしをみて、わらってくれるんですね。』
「え……」
『これから、よろしくおねがいしますね!あいさん』
桜の花も散った、新緑の季節。
俺は、可愛くて美しい、桜の妖精に出会った。