妖精と彼
会話
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それからしばらくして………
『……わぁ…!それでは…あいさんのおうちは、せんとうをいとなんでいるのですね』
「………うん。」
『わたし、せんとうというものをみたことがありません。』
さくらが両手を自分の胸のまえで合わせ、嬉しそうに俺の話を聞く。
もう慣れてきた風景だ。
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俺とさくらは、あれから毎日俺の学校帰りに会って5分くらい話をするようになった。
晴れの日も、雨の日も、さくらは桜の木の下で俺の学校帰りを待っていた。
さくらは初めて会った時と変わらない服装。
ふわふわとした、ピンクのワンピースを着ている。
可愛らしい服ではあるけど、薄そうな生地に見える。
、少し気温が低い日は寒いんじゃないかと心配になり、寒くないのかと聞いてみたけど、さくらは力強く頷き『だいじょうぶです!』と答えた。
それに、さくらは傘を全く持っていないらしく、雨の日は濡れているように見えた。
俺の傘を貸そうとしたら「濡れているように見えても、妖精は雨に濡れない」ということを教えてくれた。
そんな俺を見て、「あいさんは、やさしいですね」と嬉しそうだった。