妖精と彼
確かに、いつ会ってもさくらは一人だった。
それでも、 さくらは寂しさなどは感じないらしい。
『わたしはもとからひとりでしたから……だれかといっしょにいて、はなれてしまえばさみしいとおもうんでしょうけどね……。』
きっと、誰かと離れたこととかがないから寂しいという気持ちを知らないんだと言う。
でも、ここで俺は疑問に思った。
さくらの言う通りで、妖精は誰しもご一人だというのなら……
人間と一緒に暮らすトウくんは、何なのか…?
姉さんを好きになったからなのもあるだろうけど、トウくんは一人が寂しくて情報操作をすることで誰かと一緒にいたがったのか……?
トウくんは何者なのか?
それは俺が長く抱いていた疑問だった。
その疑問は、本物の妖精にしか解決できないだろう。
「あのさ、さくら……」
『……はい、何でしょう?』
「妖精は、人間と一緒に暮らしたりするもの?」
普段、俺から話題を振ることがないからか、さくらは一瞬キョトンとした。
そして、少し考え込む。
一生懸命考えているらしく、さくらの可愛らしい顔に眉間のシワが刻まれる。
そんな様子を見て、俺は聞いたことを少し後悔した。