妖精と彼
『おねえさん……たまにあいさんといっしょにおでかけしている、とてもきれいなじょせいですね!』
「あ…うん。……ってそうじゃなくて」
『おねえさんはいつもうつくしくて、ほれぼれしてしまいます!……あっ、あいさんもきれいですよ!』
隣に住み着いた妖精の話をしたいのに、さくらの意識は姉さんの方に移ってしまったらしい。
…聞いてもいないのに姉さんを褒めちぎった。
さくらは姉さんのことを語りつつ、頬に両手をあてて、とてもうっとりとした様子。
そして俺のことも、とってつけたようにキレイだ、とよく分からないけど褒めている。
俺の自慢の姉さんをほめてくれるのは、とても嬉しい。
けれど、それよりも早く話をもとに戻さなければ……。
そのリスクとやらを確認しておかなければ……姉さんが危ないかもしれない。
「あのさ、さくら…。さっきの話の続きだけど隣の家に住む妖精が、よくうちに上がり込んでくるんだけど……その、そーゆーのにもリスクみたいなものはあるの?」
俺がそう聞くと現実に戻されたのか、さくらはきょとんとした。
そして、怪訝な表情になった。