妖精と彼
『すんでいる…?もとから、ようせいがいたのではなく……?』
さくらが、俺の質問を明らかに不審に思っているのが態度から伝わってくる。
その雰囲気に、俺も少し尻込みする。
「……そうだけど…?」
『えっと……、そのばしょに、ようせいはむかしからいて…にんげんのまえにすがたをあらわした……ってことじゃないんですか……?』
さくらの不審そうな顔と、疑うような声色に俺は戸惑っていた。
念を押すような質問に、俺は話が噛み合っているのかさえ不安に思った。
「昔からいたのかは知らないけど……出会ったのは3年前。ある日突然、人間として、お隣さんに昔から住んでることになってた。姉さんの同級生ってことになってるけど…本当は温泉の妖精なんだって。」
さくらは、俺の説明を黙って聞いていた。
怪訝な表情と、眉間のシワ。
口元に手をあてて、かなり真剣に考え込んでいた。
さくらの可愛らしい顔は、眉間にシワが寄っても変わらない。
俺は、さくらの顔をキレイだなと思いながら、何となく見つめていた。