妖精と彼
それは、あまりに衝撃的で頭が真っ白になった。
「死」という言葉の恐ろしさに、足がすくんだ。
いや、……そんな…触れただけで死に至るなんて……。
でもさっきの身体への影響を考えると、あり得るのかもしれない。
にわかに信じられない俺の心中を察したように、さくらは頷いた。
『あいさんが、めまいですんだのは……れいかんがつよいから。そして、ようせいとにんげんをひきさくのが、このちからです。』
「…ってことは、さっき言ってた別れって……」
『ぐうぜん、ようせいとにんげんがふれてしまってなくなる……というのが、おおいみたいですね。』
「…………」
自分が触れてしまうことで、相手が死に至る。
それは、辛くて悲しいことだろう…と思った。
俺を見ながら、さくらも悲しそうな顔をしていた。
『……そんな、かなしそうなかおをしないでください。』
さくらは、俺が悲しそうな顔をしていると言うけど…これも信じられない。
だって、俺の感情が顔に出てるわけない。
「……そんな顔してないし。」