妖精と彼
俺の姉さんはとてもキレイで美人でスタイルも良い。
美人な人は性格がキツい。
なんてよく言うけど、俺の姉さんは優しくて性格も良い。
本当に自慢の姉だと言い切れる。
姉さんの外見に惹かれた俺の友達から、よく紹介してくれって頼まれるけど…簡単には紹介したくない。
姉さんは、そんな安くない。
家族は俺にとって、とても大切な存在。
その中でも、俺の感情の機微に一番気付いてくれる姉さんは、俺にとって本当に特別な存在だった。
友達からよくシスコンだと言われるけど、その通りだと思う。
俺の恋愛観にもやっぱりシスコンが影響している。
『彼女を作るなら姉さんと同じくらい、俺の感情に気付いてくれる人がいい。』
外見の好みは全くないけど、それは唯一の条件であり、一番の難問だった。
今日まで一緒に暮らしてきた姉さんでこそ分かるものが、ついこないだ出会ったような人に分かるわけがない…。
どれだけキレイでも、どれだけ可愛くても、それだけでは誰かを好きにはなれなかった。
それなりの外見をしているからなんだろうけど、俺に告白してくれる子もいた。
可愛くて有名な子も、性格がとても良い子もいた。
だけど、俺の表情に隠れた気持ちに気付いてくれる子はいなかった……
そんな、無理難題のような恋愛の条件を持っている俺には、恋愛は程遠いものに思えた。