嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
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週末に向けて、限定店舗のみで早期クリアランスセールが実施されることになったらしい。
特に売り上げのいい店舗でのみ許された、クリスマス前のプレセールだ。
東北地区なのに参加できるエリカの店は、余程期待されているのだろう。
パソコンに向けられたエリカの瞳には、わかりやすい程やる気が漲っていた。
「なんだ。もう品番リストも来てるのか。どうする?該当商品、一応裏にストックしとくか?」
気軽にそう声をかけてから、エリカの手に自分の手を乗せマウスを操作する。
一瞬びくりと反応した細い指。
わざと絡めるようにしてホイールボタンをスクロールすれば、みるみるうちに頬が赤く染まっていった。
ここで振り払わないのが、なんともエリカらしい。
自分が俺を意識してるなんて、認めたくないんだろう。
過剰に反応したら俺にからかわれることが目に見えているせいか、エリカは必死でその密着に耐えていた。
「おーい店長、どうすんだよ」
「…先週から売り場に出てるけど、まだ全然動いてないみたいだから。とりあえず様子見でいいかと…」
「…ふーん…」