嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
エリカと考えることが一緒だと、どうしても嬉しくなる。
こいつを育てたのは俺だから。
教えた仕事のやり方が、ちゃんと身についている証拠だ。
「気が合うな、俺も全く同じ意見」
横からエリカの顔を覗き込んだけど、エリカの目はディスプレイに向けられたまま固まっている。
このまま白い首筋に近づいて、唇で、舌で、触れてみたい。
そんな邪な考えが頭に浮かんで、俺は自嘲の笑みを浮かべた。
…俺が我慢できなくなってどうする。
昔みたいに、エリカの気持ちを無視して触れたりしないって、心に決めたばっかりなのに。
「私に一から指導してくださったのは、橘マネージャーなんですから。考え方が似るのも当然のことじゃないですか」
「そうだな。何も知らなかったお前の身体に、手とり足とり教えてやったもんな。良かったよ。ちゃんと全部忘れずに染みついてるみたいで」
意地悪して、わざと語弊があるように言ってみる。
案の定俺の言葉に反応したエリカは、顔を真っ赤にしたまま俺を睨みつけていた。
「…私が話しているのは“仕事”の話ですけど」
「他に何があるんだ?」