嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「…はぁ」
どうやら相沢には、俺の作戦がお見通しらしい。
まぁ気づくようにやっているのに、全く気づかないあいつ自身も鈍すぎるが。
俺だって、出来ればもっと余裕で接したい。
だけどいざエリカを前にすると、どうしても普通じゃいられなくなる。
今はまだギリギリ理性を保っていられるけど、何かの拍子に箍が外れてしまいそうな危険もあった。
(五つも年下の女に、まさかここまで翻弄されるなんて…)
女なんて簡単に寄ってくるものだと遊びまくっていた学生時代の俺が今の俺を見たら、相当がっかりするだろう。
本当に欲しいものは、自分で努力しないと手に入らない。
だからこうして俺は、エリカにしつこいくらい構い続けている。
実際、二度目のプロポーズをした夜から、エリカの態度が大きく変わった。
俺を見れば顔を赤くするのに、拒否したりはしない。
再会した当初の嫌悪感丸出しのトゲトゲしさに比べれば、もうかなりの進歩だ。
そうやって、もっと意識すればいい。
他には何も考えられなくなるくらい、エリカの頭の中が、俺のことで溢れてしまえばいい。