嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「そうですねぇ。まず今後一切店長と橘マネージャーのシフトがかぶらないように調整してもらえます?それで、逆にゆりを橘マネージャーのシフトを合わせてほしいんですけど」
「それは…」
「無理なんて言わないでくださいね?自分だって職権乱用して、橘マネージャーと多く一緒にいられるようにシフトを作ったんでしょうから」
白鷺の勝手な主張に、俺は腸が煮えくり返りそうなくらいの怒りを覚える。
エリカが少ない人員の中で、どれだけ頭を悩ませてシフトを作ってると思っているんだ。
本当は通常の業務内にやるべき事務処理だって、あいつは休みの日に家で行っている。
早番で出社した日だって、ほとんど定時で帰れたことなどないのに…。
「あのねぇ…ゆりちゃん。いくらなんでも、そんなことできるわけ…」
「じゃないと私、この忙しい時期にここ辞めちゃいますよ?」
「……!」
「どうしますか?結城店長。売上で今年も一番取りたいんですよね?」
さらにエリカを追い詰めようとする白鷺の言葉を聞いて、もう限界だと思った。
いくら一番バイト歴が長くて使える人材だといっても、店長を脅迫するなんて世間知らずにも程がある。
痺れを切らして突入しようとした、その時―――。
「…辞めたければ、すぐに辞めてもらっていいよ」