嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「…結局一日かかったな」
帰りの車内で、歩き疲れてぐったりしているエリカに、隣から優しく声をかけた。
あれからまた色々と買い込んでしまって、後部座席はプレゼントの山に埋め尽くされてしまっている。
途中からノリノリだったエリカも、流石に申し訳なさそうに俺のことを見つめ返していた。
「あの、散々買わせちゃってなんだけど…やっぱり私も払うよ」
「バーカ。俺はお前じゃなくて寧々に貢いでんだよ」
「いや、でも。なんかさすがに悪くて…ほらボーナス出たばっかだし。私にもそれくらい余裕は…」
「いいだろ。…このぐらいさせろ」
これが俺の贖罪なんだと、苦しげに発した言葉に思いを乗せる。
俺の意図が伝わったのかはよくわからなかったが、しばらくエリカはだんまりを決め込んでいた。
「…なんだ。急に元気ないな。疲れたのか?」
「うん。…まぁそんなとこ」
エリカも色々と思うところがあるのだろう。
俺だって簡単に許してもらおうなんて思っていない。
ただ、この気持ちだけは知っていてほしいと、運転の最中ずっと思っていた。
「…よし、これで全部だな」
買い込んだプレゼントを車からエリカの部屋に運び、寧々に見つからないように収納スペースに隠していく。
必死な俺の姿を見つめていたエリカの顔には、いつの間にか笑顔が戻っていた。
「結城、そろそろ行くぞ」
「うん」
久しぶりに寧々に会えるせいか、心が弾んでしまう。
「……え」
ふと後ろのエリカに目線を向けると、その身体がスローモーションのように前へゆっくりと倒れてきていた。