嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~

そんな風に軽く考えてしまっていたのが、そもそも間違いだったのかもしれない。

その日は開店と同時に福袋が売り切れ、店の売上は私が店長になって以来最高の売り上げを記録した。

朝からほとんど休憩も取らずに働き通しだったというのに、POSのデータを確認した瞬間、疲れなんてあっと言う間に吹っ飛んでいく。

すぐに美月に報告して、喜びが爆発したのも束の間。

朝から触っていなかったスマホを思い出したかのように手に取った私は、あからさまに表情を引きつらせていた。


「……えー……」


表示されている着信履歴には、私が仕事から上がる時刻を見越してなのか、二十分前から二、三分おきに翔太から電話が掛かってきている。

忘れていたわけではないけれど、忙しさにかまけていてさすがに放置しすぎたかもしれない。


「……ねぇ大丈夫なの?橘マネージャー」

「どういう意味?」

「もしかしたら、エリカと一秒も離れていたくなくて、こっちに来ちゃうんじゃない?今だってお正月で休暇中なわけだし……」

「まさかー。そこまで暇じゃないでしょ。実家に帰ったりするだろうし」


無事に色んな誤解も解けて、心配することなんて何もない。

昨日隅々まで愛し尽くされ、嫌というほど翔太の気持ちを思い知らされた私にとって、距離なんてもうどうでもいい問題だった。

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