嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
「しょ、……橘マネージャー……あの」
「……なんだ」
美月がいることに配慮して名前で呼ばなかった私に、翔太が微かに眉根を寄せる。
マンションまで送るってことは……これから一緒に、私の部屋に来るってことだよね。
自分から誘った手前、美月との女子会を断るわけにはいかない。
じゃあ、三人で新年会……?
自分に馴れ馴れしく接する翔太と、それを面白そうにニヤニヤ観察してくる美月に囲まれて……?
そんなありえない構図が頭の浮かんで、私はその場でぶんぶんと頭を振る。
……どうしよう。そんなの絶対無理、耐えられない。
「橘マネージャー、どうもーお疲れだったみたいで!東京から仙台にトンボ帰りですか」
「相沢。なんだ、お前もいたのか」
「やっぱり気づいていらっしゃらなかったんですねー!橘マネージャーの目には、エリカ以外映ってないんですか?」
「悪い。……本当に気がつかなかった」
堂々と肯定する翔太に、また身体の熱が上がっていく。
私を見下ろす瞳には、こっちが恥ずかしくなるほどの熱がこもっていた。
ただならぬ雰囲気を醸し出す翔太の前に、私は自分の身体を無理やり割り込ませていく。
「み、美月も一緒に乗っていこ?夜道一人だと危な……」
「いいえ~。私は彼に迎えに来てもらいますから。さっさと、エリカのこと連れてっちゃって下さい」
「……!」