嘘つきより愛を込めて~side Tachibana~
軽く押し当てられた柔らかい感触に、下腹部の辺りから甘い疼きがせり上がってくる。
翔太は私の身体を、たった一晩でここまで過敏に反応するように作り替えてしまった。
意外にもすぐに離れていったその熱に、私の瞳がゆっくりと見開かれていく。
「いきなり……なに、を」
「ああ悪い。もう抑えが……」
効かない、と呻くように呟いた翔太の瞳は、蕩けそうなくらいフェロモンがだだ漏れの状態で、一体いつそんなスイッチが入ったんだと、私は頭の中で自問を繰り返す。
頬を両手で挟み込んだ翔太は、まるで餌を強請る雛鳥のように、何度も何度も啄むようなキスを繰り返していた。
唇同士で摩擦が起き、ちゅっ、と吸い上げるような甘ったるい音が響く度、恥ずかしくて頭が爆発しそうになる。
そのまま構わずキスを仕掛けてきた翔太のことを、私は驚きと戸惑いの表情をにじませながら黙って見ていることしか出来なかった。
「んっ、ちょっ……いい加減、もうやめ、」
「止まらないんだから仕方ないだろ……!とりあえず、俺の気が済むまで我慢してくれ」
わけのわからない言い分を真顔で押し通そうとする翔太に、私は口を開けたまま絶句する。
一部始終を観察していた美月の姿をガラス越しに見つけて、危うく大声で叫びだしそうになってしまった。