紅い空のもと

ありふれた日々

俺の席は、後ろから二番目の窓側。

この席での特権といったら、とにかく風が気持ちいいことだ。冷た過ぎず、暖か過ぎず。



授業中の居眠りには丁度いい。



今は、昼休みの時間。

お馴染みの友達と机をくっつけては、お昼ご飯を食べながら雑談を楽しむ。


今目の前で一緒に飯を食っているのが、幼馴染の

赤原 裕司(あかはら ゆうじ)

小学校からクラスが離れたことが、一度も無い。

奇跡ってか、運命だな


気ぃ使わなくて済むし、何の話題でも会話が弾む。

外見は不良っぽいけど趣味が菓子作りとか、変わった奴なんだよ本当。

「って、おーい、慎二聞いてっか?」

「え、おう、きーてるきーてる」
俺は誤魔化そうと、へらへらと笑った

「本当か?一応もっかい聞くけどタルト食う?」

「食う食う‼︎」

「イチゴと、ブルーベリー、どっち?」

「ん〜……イチゴかなぁー」

「わかった」

小さな銀色のバックから保冷剤を三つ取り出しイチゴのタルトを取り出した。何か可愛いラッピングがしてある。


女子か!?と、ツッコミがしたくなった


「ほら、食え」
俺の前にそのうまそーなスイーツとホークを置いた。

「いただきまーす」

ホークを片手にタルトを突っつく。

口にパクッと含むと、イチゴの甘い味が口内を満たした。

「ん〜〜しあわへ〜」

「よかった、てか、口からこぼれ過ぎ」

裕司は自分の弁当の中のタコウインナーを食べた。

弁当も自作らしい。クオリティ高ぇ
なんか色々光ってるよ、卵焼きなんかめっちゃ綺麗。

女子か!?


俺が前調理実習で作った卵焼きなんか真っ黒な塊みたいだったぞ。
笑われたしな。

「てかさ、お前なんで髪金髪に染めたの?」
不意に気になった俺は裕司に尋ねる。

「あ〜これ?」

髪を少し弄りながら答えた

「ねぇちゃんに無理やり染められた、ほら俺の姉貴美容師じゃん?なんか今度友達の髪染めるらしくてマネキンとかよりホンモノの方がいい練習になるとかで、その巻き添い食らったわ」

「うっわぁー悲惨、でもさ、綺麗に染まってるよなぁ、綺麗な黄色。さすがプロだわ」

「巻き添い食らう俺の身になってみろよー散々だかんな?」


「うち、妹しかいないからわからーーーーいでっ!!」

ぼんっと、突然頭を叩かれた。こんなガサツなやつはあいつしかいない。

七海 ゆずは(ななかい)

裕司と同じく俺の幼馴染だ。

ゆずはは、クラスの委員長だ。明るい性格が男女問わず人気がある。

「ちょっとーしんちゃん何一人で食べてるのよー私にもちょーだい」

『しんちゃん」と、いうのが俺のあだ名。ゆずはだけがそう俺を呼ぶ。
「モグモグやだ、裕司から貰えモグモグ」

「えー、裕司いちご味ある?」

「慎二ので最後、後全部ブルーベリー」

「えーイチゴが良かったぁー」

「ははは、ざまぁあ」

【パクッ】

「あ?」
ゆずはが俺の食っていたタルトを手で奪い食った。

「ゆずはーーーーてめぇーーーー」

「うわっ!美味しい‼︎何これ?やっぱり美味しいわー裕司の作るお菓子は‼︎」

と、ゆずはの一言で人がどんどん集まってきた。

あーもーサイアク。


タルト食われるし、俺らの席に人だかりできるし、

てか、菓子の取り合い始まったよ。


争奪戦だよアレ。




あーもう…………、







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