【完】いじめっ子と戦ってみよっか【いじめられっ子更新済】
泣いていてもしょうがない。
そうは思うけど、涙が止まってくれない。
誰もいない教室。
自分の机に突っ伏し涙が止まるのを待つ。
本当は帰らなきゃいけないけど。
先生に見つかったら怒られるけど。
家に帰りたくない。
「楓……?」
ビクッ。
誰もいないと思っていたのに。
声のする方を見ると同じクラスの京(きょう)くんがいた。
この子が未来ちゃんの大好きな子で、私がキスしようとした相手。
「泣いてんの?」
近づいてくる京くんの顔は夕焼けに照らされていてよく見えない。
「いや……泣いてないよ」
「泣いてんじゃん」
ごしごしと擦る手をパシッととられた。
「なに」
「未来に、いじめられてんだろ」
今更。知ってるくせに。
「別に」
でも、これはいじめじゃないよ。いじめじゃない。
……最初に言ってたことと矛盾するよね。
でも、いじめじゃないんだ。
「辛くないの?」
「辛く……」
辛くない。……わけないよ。
「辛いよ……っ!」
大切なブレスレット壊されて。死ね死ね言われて。
どこにも居場所なくて。
「うん、そうだよな」
フワッと、泣いている私を抱きしめ頭をポンポンと撫でてくれる。
「未来から、守ってやるよ」
「え……?」
「俺が守ってやる」
突然言われたその一言。
私には
涙腺を崩壊させる
言葉で
誰かに言ってほしい言葉だった。