隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

「今日は疲れて何があっても起きないでしょう」

桜ちゃんからひとつ置いたベッドに座り
自分の横をポンポンって叩いて私を誘う。

いつもの綺麗な顔が
今日はいたずらに笑ってる。

場所が変わると
開放的になる不思議。

そっと彼の隣に座ると
そのままバタンと押し倒された。

「疲れた?」
柔らかな髪が私の頬を触り
幸せなくすぐったさに目を閉じる。

「紀之さんは?」

「夜はこれからでしょう」

優しい声が魔法のように
私の耳でささやき
彼の香りが私を包む。

「大人の時間」

彼の声は優しい
優しくて愛しくて甘くて






眠くなる。


あぁなんて
優しいキスをするんだろう
気持ち良くて




眠くなる。


「郁美さん?ちょっ……ちょっと!郁美さん!そこで寝る?起きて!」

紀之さんの
焦った声も素敵
そしてその声は遠くなり……。


< 251 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop