死神のキス
プロローグ。



…コツン。



草木も眠る丑三つ時。


フワリと宙を舞うのは銀色の髪。

風もないのに揺れるそれは、月の光を浴びてキラキラと光る。


同じく光る黄緑いろのまぁるい瞳。

その瞳にはなにが映っているのか。



「……今宵は満月。
お仕事には最適な夜ね」

林檎のように紅くふっくらとした唇が言葉を紡ぐ。
出てきた音が真夜中の暗闇に消えると同時にその姿は闇へ溶け込んだ。

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