死神のキス
STORY1
真夜中に突然目が覚める。
それはもう、スッキリとするくらいに。
でもそれはいつものことで、格段驚いたりはしなくなっていた。
…ただ、今日はなんだか変な感じがする。
何かこう誰かにジッと見つめられている様な、気味の悪い感じ。
気のせいであってほしいソレにふるりと身体を震わせながらベッドから上体を起こした。
(嗚呼、今日は満月か。)
窓から見える小さな夜空にスッと目を細める。
そこからまん丸な月が室内を優しく照らしている。
無機質な白を基調とした部屋は所詮病室でしかなくて、趣などあったものではないのだけれど。
そう思って少し虚しくなった僕はフッと自傷的な笑みを浮かべ、もう一度ベッドに戻ろうと視線を元の位置に戻した瞬間言いようのない気持ちの悪さに背筋が凍りついた。
「こんばんは、紺野 優李サン」
闇よりも真っ黒なマント
月明りに煌めく白銀の髪
白雪のような肌
弧をえがく真っ赤な唇
そして
大きな銀色の鎌
……死神。
僕は頭の中でその答えに辿り着いた。