君と居たい
別れは突然、出会いは必然
ずっと昔、お父さんに一度だけ聞いたことがある

「ママにはいつ会えるの?」

するとお父さんは一瞬悲しそうな顔をして、しばらく黙ってから言った。

「ママに会いたいか?」

だから私は言った。

「ううん。パパが居るからいい!」



-12月10日 午後10時24分
お父さんが死んだ


私の唯一の家族。
この世で1番大切な人。

男手ひとつで私を育ててくれた父が交通事故で他界した。


16年間、泣き言1つ言わなかったお父さんが
救急車の中で涙をながしながら私の手をしっかりと握って言った

「・・・ごめんなぁ・・・」


それは、自分が死ぬことを悟って言った言葉だったのか。
もしくは、心配をかけさせない為の精一杯の言葉だったのか。


父は、轢かれそうだった幼い女の子を助けた時に何かを落としてしまい、それを拾おうと車道に戻った瞬間事故に遭ったそうだ。


私は無力だった。
あの大好きだった父に葬式も執り行ってあげれない。


「ありがとう」すらも伝えれなかった



ただただ茫然と父の遺骨を抱きしめて、父との思い出を振り返るばかりだった。



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