少年アリスと箱庭遊戯
少年アリス、不思議の箱庭へ

少年アリス、学園を飛び出す。

・・・在須side・・・

木漏れ日の落ちる昼下がり、いつもの木の下で。

昼休みだが何もやる事がない俺はいつも通り本を読んでいた。

そう。いつも通りの事。何も変わらない昼休み。

…目の前に白い、兎みてーな耳生やしたえらい美人がいる事以外は。

じっとコチラを見つめる目は赤く、髪は白で肩ぐらいまで。アルビノっていうのか?

白衣に黒いシャツで赤いネクタイ締めてんのは様になってはいるが…

お前、生徒でも先生でもないだろ。何してんだ。

「あの…アンタどこの「あぁ、やっぱり。君が私達のアリスの片割れなんですね。」

…遮ってきやがった。声も中性的でそれだけじゃ性別の判断は難しい。

「いきなりで驚かせてしまいましたか?スイマセン。私もコレが仕事ですので。」

「仕事ォ?コスプレして学校ん中で生徒に声かけんのが?」

我ながら思わず口が悪くなってしまう。仕方ないだろ、読書の時間を邪魔されたんだ。

「そうですね…仕事の内容を簡単に説明するならば君を迎えに来たのです。」

「君が遠い昔に契って、忘れてしまった約束のね。」

迎えに来たっつっても俺にはこんな知り合いはいねぇ。

ましてや忘れてしまうほど遠い昔の約束だ?

「んな事言われてもしらねェよ。人違いじゃねーの?」

思いっきり迷惑そうにシッシ、と手を振る。

当の美人はそんな事はお構いなしににこり、と笑うと乱暴に俺の手を取って

「さぁ、行きましょうか。貴方の片割れが貴方を待っています。」

と一方的にグイグイ引っ張って何処かへ連れていく。つかコイツ力強ぇな。

「痛い痛い!俺もうそろそろ授業始まるから帰りてぇんだけど!?」

「そういえば貴方は学生でしたね…でも大丈夫ですよ、教室をご覧なさい。」

「ハ?教室っ、て……っ!?」

覗きこんだ廊下、教室。その中では全員が全員、動きを止めていた。
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