少年アリスと箱庭遊戯
・・・在須side・・・

気づいたら、長い廊下の様な所で寝ていた。

頭ガンガンする…この痛みが今が夢ではないと教えてくれる。有難くはねぇが。

「取り合えず…ココ何処だよ…」

一人ぼやきながらゆっくりと体を起して辺りを見回してみる。

赤いカーペットの敷かれた長い廊下、こげ茶色の壁…壁紙はない。

落ちてきたはずの天井を見上げるも穴のようなものは無い…何処から落ちてきたんだよ俺。

後ろには壁、真っすぐ行きゃ何かあるだろうか。

訳分かんねぇって溜め息をついた所でしょうがない。

今行ける道はただ一つ。真っすぐこの道を進む事だけだ。

立ちあがってみると意外に体は軽くて、むしろ普段より調子はいいぐらい。

暫くは廊下の風景が続いたが、やがてデケェ図書館…みたいな所に出た。

高い物だと十メートル以上はあるだろう書架、所々に置かれたソファと机。

…すげぇな、相当本あるぞ。俺ココにだったら住んでもいいわ。

思わず嘆息して辺りを見回すと、書架の上に人影がいるのを見て取れた。

何だ、人いんじゃん!この状況下で初めて会った人が嬉しくて思わず声を張り上げる。

「ッオイ!なぁアンタ!ここの奴なのか?!」

「んー…?うるさいなぁ…何だい何だい。…って、片割れアリスじゃないか!」

眠そうな声の主は俺の姿に気付くと声を弾ませて、

低いとはいえ五メートルはあるんじゃね?っていう書架から飛び降りた。

「…えっ?」

あまりにも突然過ぎて気の抜けた声しか出ない。

あっけに取られる俺の前でその人は…

いや、そもそもコイツ人か?はシュタッと着地を決めて見せると明るく言った。

「やぁやぁアリス!待っていたよ、僕らも君の片割れも!」

「…なぁ、なんであのウサ耳にしろアンタにしろ俺の名前知ってんだ?」

違うだろ俺。今言うべきはそれじゃないだろ俺。

だけど不思議に思ってたのも事実だしな…どう来るか?

「そんなの決まってるだろ、君はアリスだからさ。アリスの片割れな君はアリスだろ?」

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