少年アリスと箱庭遊戯
・・・在須side・・・

「行って、っつってもよ…どこにあるか分かってるのか?」

尋ねるとコクリ、と頷いて

「あのね、白い砂利を撒いてきたの。えっと…」

キョロキョロと周囲を見回して少し離れた足元に落ちている石を拾うと

「…コレ。コレが目印になって、お家に連れて行ってくれる。」

手渡してきた。成程…これなら確かに道は分かるだろう。

「だから御願い、一緒に来て?」

ここまで頼まれて断れるほど俺は非常でもないし、

ましてやこの暗い森に女の子を一人で置いて行く程ゲスでもない。

それにこのまま一人でウロつくよりも何かしら進展はあるかもだしな…

「……分かった、行くよ。案内頼めるか?」

そう頷いて見せると表情の薄かった顔がぱぁ、と輝いて

「ありがとう…!それじゃあ、コッチ。コッチにあるはず。」

と俺の手を引いてグングン進んでいく。

華奢そうに見えるが中々に力はあった。それとも焦りから出てる強さだろうか。

時折確認するように地面をじっと見つめ、それからすぐに「コッチ」と言うとまた歩き出す。

かなり歩いた。疲労もかなり溜まっている。

溜まってはいるが…この少女の前で「疲れたから休もう!」などと言える訳がない。

それは俺のプライドが許さない。

だがしかし目の前の少女は俺の考えを呼んだかのようにピタっと止まって振り向くと、

「アリス、この先もまだ歩く…から、少しだけ休憩してもいい?」

と首を傾げて尋ねてきた。大声で「勿論!!」と叫びたいのをグッと堪えて

「オッケ、そんじゃあの樹のとこにしようぜ。あそこなら座れるだろ。」

とソレほど離れていない樹の下を指さす。

アルツは小さく頷くとまたも先立って歩いて行って、樹の下に腰掛けた。

後を追いかけて俺も腰掛ける。
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