◆ 未来の魔女 ◆
「いいや ルネット
 よくお聞き


 未来というのはね
 そんな風に 覗くものでは
 ないんだよ」

大ばあさまは 目を細めたまま
ルネットが 探していた水晶玉を 紫の布で 包みなおすと 戸棚の奥にしまいこんで しまいました


ルネットは 期待が外れて
がっくりと うつむきました


「未来は ひとつじゃないからね
 簡単には 覗けないんだよ」

大ばあさまは
再び ルネットに近づくと そっと
ルネットの手を とりました


「でも 未来は

 この手の中に 溢れてる

 どんな未来を掴めるかは
 わからないけど

 一歩ずつ

 未来にむけて

 歩いていけばいいんだよ」


大ばあさまは
うっすらと 開けた目を
また なくなってしまう くらい
細めて 言いました

 
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