悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
日食と結界
「あ、ヘンリー」
翌日、学校からルカの屋敷へ帰宅後、いつものように真っ先にチヅルさんのお墓に行ったらそこにヘンリーが立っていた。
執事の先輩、シキのあとをついて行こうとしているのか、今までシキが丁寧に手入れをしていたバラをひとつひとつ見ている。
ヘンリーはあたしに気づくと、ピンと背筋を伸ばし頭を下げた。
「サラ様。学校から戻られたのですね」
あたしは「うん」と頷いてヘンリーの隣に立つ。
そうしたのはいいけれど、何だか少し落ち着かない。
別に人見知りするタイプではないのに、妙にヘンリーの隣に立つのは緊張する。
こうやって隣に立ってみると、あたしと身長はそんなに変わらず華奢な体つきだな。
黒髪だからか、とても若く見えるし。
きっと、あたしよりも年下なんだろうけど……。
悪魔と人間の歳をとるスピードが違うから、ルカやシキのように何百歳なんだろうな……。
「そう言えばサラ様」
隣のヘンリーをジーッと見ているところで急に話しかけられたので、思わずビクリと肩をあげてしまった。
「な、なに?」