悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
それにしても、ここの本棚って本当に高いなぁ……。
一番上の段にはどんな本が置いてあるんだろう……。
あたしはあんぐり口を開けて天井付近の段を見上げる。
そして、右手を上げ、上段から本を一冊引きぬくように手を動かしてみた。
以前、チヅルさんがしていたように。
だけど……。
「うん、まぁ、そうだよね。あたしに魔力が使えるわけないのに」
あたしは自分の行動に苦笑して、右手をぎこちなく下ろす。
バカな考えはやめて、目線の位置の本棚を物色した。
相変わらず読めない背表紙ばかりだったけど、びっしり詰まった本の間に、頭の中にすーっと入ってくる言葉があった。
「……日本語だ」
茶色い革製の背表紙には『王族と奴隷』と書かれている。
他の本を落としてしまわないように、ゆっくりそれを取り出す。
分厚い本は、ズシリと重みがある。
とても古い本なのか、手で触るごとに表紙の皮がポロポロとはがれていく。
中も黄ばんでいて、カビの臭いが鼻をついた。