悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
翌日、学校は終業式で浮かれていた。
だけど、あたしは夏休みを迎えるのが怖くてずっと席に座っていた。
“何者かが動き始めているのです“
昨日、そう言ったシキの神妙な面持ちが頭から離れなくて、変な胸騒ぎがするんだ。
何だろう……。
すぐそこまで、危険が迫ってきているような気がする……。
教室の窓から空を見上げると、カンカン照りの太陽があたしの目を刺激した。
暑くて、何種類かのセミの鳴き声が重なりうるさいくらい。
世間は明日から夏休み。
天気もよくて、どう見ても平和だ。
身に危険が迫ってるなんて思えない。
「サラ」
後ろの席のルカが、騒がしい周りに響かないくらい低い声を出した。
そういう声を聞くだけで、今は緊張感が増す。
あたしが真剣な顔で振り返ると、ルカは眉間にグッと力を入れた。
「やけに大人しいな」
「ルカが真面目な声であたしを呼ぶから。そういう時は大抵とんでもないことが起こってる時じゃん」