悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
ネックレスと王子と執事
一日が終わり、ようやくこのモヤモヤから解放されると思ったのに、最後にまた体に電気が走るような違和感があった。
教室に居づらさを感じ逃げるように教室を出ると、正門前に、見るからに高級車だとわかる黒の車が止まっている。
その車の前には、背筋をピンと伸ばし燕尾服を来ている男性、いや、男の子が立っていた。
年齢は、多分あたし達とそんなに変わらないんじゃないかっていう幼い顔立ちだ。
小柄で、気が弱そうで……。
だけど、きちんと何でも仕事はこなせる人で……。
笑顔や話し方はとても優しく、あまり感情を表に出さない人が、ぐしゃりと顔を歪めて涙して……。
“知ってる“
……もう、何回目?
だから、あたしは何も知らないってば。
黒い車が止まっている周りには、物珍しそうに目を輝かせた生徒達が集まり一気に人だかりが出来る。
黒羽ルカがゆっくりした足取りで現れると、今朝みんなが騒いでいた執事らしき小柄な彼は深く頭を下げ、後部座席のドアを丁寧に開けた。